澁江俊一 17年10月15日放送
Huss Khzam
ニーチェ 価値の転換
173年前の今日は、
哲学者ニーチェが生まれた日。
キリスト教の「隣人愛」は
自分よりも他人を愛しなさいと教える。
しかしニーチェはどうすれば自分が
もっと快活に生きられるかを徹底的に考え抜いた。
そんなニーチェの人生は苦悩に満ちていた。
激しい恋の末の失恋。親友との決別と孤独。
精神が壊れるギリギリの状態を
苦しみ切ることでたどり着いたのは
よりよい人生を生きるための価値の転換だった。
自分はいつか人類に最大の贈り物をするんだ。
そう自負して出版した「ツァラトゥストラ」は
しかし、ほとんど見向きもされなかった。
世界が彼の言葉の真の価値に気づいたのは、
ついに精神を病んだニーチェの死後、半世紀以上後のこと。
大きな苦痛こそ
精神の最後の解放者である。
苦しみの底でも
希望を捨てなかった男の言葉は重い。