石橋涼子 17年10月29日放送
写真のはなし 多彩なナダール
19世紀ヨーロッパでは、写真技術が確立し、
ポートレートを撮ることが大流行した。
そのなかで有名な肖像写真家が、フェリックス・ナダール。
彼は、ボードレールやドラクロワを始めとする
当時の文化人を多く撮影したが、
決して友人たちのおかげで名を残したわけではない。
ナダール自身が多彩な才能を持っており
ジャーナリストや風刺画家としても活躍しつつ、
熱気球を飛ばして史上初の空中撮影を成功させたり、
人工照明を用いた地下での撮影に挑戦したりと、
様々な試みでパリ市民の注目を集めた人気者だったのだ。
その縦横無尽な活躍ぶりを、ボードレールはこう評している。
ナダールこそ、生命力の最も驚くべき現れだ。