大友美有紀 17年11月5日放送
TKY
「猫は一生の伴侶/大佛次郎」風呂の猫
文筆家・大佛次郎の家にはつねに10匹以上の猫がいた。
そのなかで、どうしても他の猫と一緒にいない女猫がいた。
離れて浴室に住んでいる。
寒い時分は、湯船の蓋の上に寝ている。
大佛が「おい、どけよ」といってもどかない。
蓋を2枚ほど開けても座ったまま。
仕方がないので、大佛は小桶で湯を汲んで浴び、
結局は、湯船に入らずに出てきた。
あとで考えて、おれもおかしな男だ、
猫に遠慮することもないのに、と思った。
優しい猫好きさんが、
湯冷めしたかどうかは、
わからない。