大友美有紀 17年12月3日放送
「失踪までとその後」アガサ・クリスティー 戦前の社交界
アガサ・クリスティー、17歳。
フランスの花嫁学校で2年間過ごしたあと、
上流社会の女性として巣立つ準備をしていた。
けれど、父を亡くして、ロンドンの社交界に
デビューする余裕はなかった。
それでも母は、私が若い娘の生得の権利
ともいうべきものを行使するように
願ってやまなかった。
つまり、チョウがサナギから脱け出るように、
女学生から脱して広い世間に通用する
若いレディになるべきだ、そして、
他の若い女性や多くの男性とも会って、
率直に言えば、適当な配偶者を見つける
チャンスが与えられるべきだ、というのだった。
アガサは母とともにカイロで一冬を過ごし、
冬の社交場に顔を出すことにした。
パーティーに乗馬、アガサは社交界を大いに楽しんだ。
しかし戦争が始まり、その楽しい時代は4年しか続かなかった。