2017 年 12 月 9 日 のアーカイブ

厚焼玉子 17年12月9日放送

171209-01
まーさ
菊 長寿

1年365日、誕生日の花というのがあって、
12月9日、今日の誕生日の花のひとつが菊だった。

秋の花だと思っていたが、
確かに日だまりにはまだ菊が咲いている。
忘れられたころまで花を咲かせているので
長寿の象徴になったのだろうか。
江戸時代までは、菊の長寿にあやかろうと
その花びらを浮かべた酒を酌み交わす風習が
あったそうだ。

菊の咲きはじめは秋のはじまり。
冬が始まってもまだ名残の菊がある。
長く咲いてくれてありがとう。

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厚焼玉子 17年12月9日放送

171209-02
たけぽ
菊 小林一茶

1年365日の誕生日の花というのがある。
菊は今日の誕生日の花のひとつだ。

菊は陽当たりを好むが
野生の野菊も例外ではない。

たとえ山の中だとしても
頭上に木の枝などが密生していない
明るい場所で咲く。

小林一茶の句がその様子をとらえている。

 足元に 日の落ちかかる 野菊かな

野菊が人目につきやすいのは
お日さまのスポットライトを
いつも浴びているからだ。

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厚焼玉子 17年12月9日放送

171209-03
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菊 正岡子規

1年365日の誕生日の花というのがある。
菊は今日の誕生日の花のひとつだ。

正岡子規は酒に弱かったが酒好きだった。
学生時代の適量は五勺、一合の半分。
あるとき一合飲んだら酔いつぶれ
翌日の試験の結果がさんざんだったという逸話もある。

そんな子規が菊を詠んだ句がある。

 酒買うて 酒屋の菊を もらひけり  

夭折した正岡子規に
長寿を象徴する菊の花は寂しい。

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厚焼玉子 17年12月9日放送

171209-04

菊 夏目漱石

1年365日の誕生日の花というのがある。
菊は今日の誕生日の花のひとつだ。

 ある程の 菊投げ入れよ 棺(かん)の中

夏目漱石がこんな句を捧げて早すぎる死を惜しんだ
歌人大塚楠緒子は
歌を詠み、小説を書き、語学にも堪能、
絵も描けばピアノも弾くという才色兼備の人だった。

漱石は入院中にその訃報をきき
「菊投げ入れよ」の歌を詠んだ。

そして1916年の今日、夏目漱石は亡くなっている。

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厚焼玉子 17年12月9日放送

171209-05
kaiyanwong223
菊 星野立子

1年365日の誕生日の花というのがある。
菊は今日の誕生日の花のひとつだ。

 菊日和 美しき日を 鏤めぬ(ちりばめぬ)

この句の作者星野立子(たつこ)は高浜虚子の次女で、
虚子は立子の句をこんな言葉で評価している。
  
「写生といふ道をたどつて来た私は
 さらに写生の道を立子の句から教はつたと感じる」

  菊日和 美しき日を 鏤めぬ

星野立子の句は菊の季節の晴れた空のように
のびやかで明るい。

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