石橋涼子 18年2月25日放送
Querfeld GesmbH
喫茶の話 ツヴァイクとウィーンのカフェ
2011年に、ユネスコの無形文化遺産に登録された
ウィーンのカフェ文化が花開いたのは、19世紀後半だ。
その頃のカフェには、政治家から、音楽家、
演劇家、芸術家、文学者など、様々な種類の人が集った。
逆に言えば、集う客の種類によって、
その店の個性が育まれたとも考えられる。
例えば、
建築家アドルフ・ロースが設計したカフェ・ムゼウムは
画家のクリムトを始めとする芸術家や建築家たちが集まり、
新しい時代のデザインについて語り合った。
ブルク劇場のそばにあるカフェ・ラントマンは、
役者や政治家が多く集い、
エレガントな雰囲気を売りにした。
当時のウィーンで裕福なユダヤ人家庭に生まれ、
後に亡命せざるを得なくなった作家のツヴァイクは
後年、若かりし頃のウィーンの文化を回想して、こう語る。
あらゆる新しいものに対する最良の教養の場は、
常にカフェであった。
コーヒーと共に、多くを学べる場でもあった
19世紀末のウィーンのカフェからは、
ウィーン分離派や合理主義、青春ウィーン派など
多くの文化が巣立った。