茂木彩海 18年2月25日放送
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喫茶の話 中上健次と喫茶店
喫茶店とは不思議なもので、
職場では一切手につかなかった仕事や、まとまらなかった考えが
ここへ来るときれいに片付いたりする。
作家、中上健次も喫茶店に助けられた小説家のひとり。
特に通ったのは新宿中央公園近くにある「ブラジル館」。
新宿で夜通し飲んだ中上は、夜が明けるとブラジル館に現れ、原稿を書いたという。
『コーヒーひとつ』とウェイトレスに頼む。
その時から、区切りをつけて店を出るまで、私は一種の催眠状態にいる。
誰にも邪魔をされない自分だけのサンクチュアリを求め、
今日も誰かが喫茶店の扉をひらく。