茂木彩海 18年3月25日放送
呼吸のはなし ぜいたくな呼吸
いい役者には空気を変える力があるとはよく聞くが、
その場の空気を一緒につくりあげる、それが舞台役者なのかもしれない。
歌舞伎役者、中村勘九郎は「四谷怪談」でお岩さんを
演じたときのことを、こう振り返る。
舞台の上でお客さんの呼吸が聞こえるくらい集中してくれた。
私はぜいたくにも舞台と客席がいまひとつになった瞬間を感じ取った。
一緒に息をのんで、一緒にホっとため息をつく。
その一体感こそが舞台を楽しむ醍醐味なのだろう。