名雪祐平 18年3月31日放送
たにぐち
二眼二行 樋口一葉
樋口一葉、名は奈津。
七つのころから、
本が好きで好きで、しょうがなかった。
羽子板より、お人形より、読書。
読むのが抜群に速く、
「眼が二つあるから二行ずつ読める」
「里見八犬伝全98巻を三日で読んだ」
と伝わるほど。
読書への熱中を
母はよく思わなかったので、
奈津はこっそり薄暗い蔵で眼を輝かせ、
むさぼり読んだ。
奈津から一葉へ。
好奇心と読書が、
近代初の職業女性作家の芽を育んだ。