名雪祐平 18年3月31日放送
Richards
ひ夏い夏 樋口一葉
樋口一葉は、小学校を首席で卒業した。
母の反対で進学はかなわなかったが、
父は娘の才能を見抜き、
和歌を習う「萩の舎」に入門させた。
そのころの名前は、樋口夏子。
塾には、もう一人の夏子がいた。
伊東夏子。
ひ夏ちゃん、い夏ちゃん
と呼びあう親友。
塾は、贅沢な着物の
伯爵や侯爵のご令嬢たちばかり。
ひ夏ちゃん、い夏ちゃんは平民組。地味な着物。
和歌の短冊には、身分まで書く決まりだった。
「わたしたち、爵という面倒な字を
書かなくていいね」
と、笑いあった。
ユーモアと反骨心。
ひ夏ちゃん、明治の青春。