さようならと日本人
「さようなら」
私たちがいつも
何気なく使っているこの言葉は
元々「さようであるならば」という意味だった。
つまり、仕方ないことを
それでも受け入れようということ。
このような表現を
別れの挨拶に使う国は、世界でも珍しい。
百人一首の中に、こんな歌がある。
これやこの 行くも帰るも わかれては
知るも知らぬも 逢坂の関
人の世の別れを淡々と詠んだ蝉丸のこの歌は
恋の別れをテーマにしない数少ない歌として
時を超えて人々に愛されている。
切なさを受け入れる
「さようなら」の感情は
遥か昔から、日本人の心に
根づいていたのだ。