田中真輝 18年4月8日放送
さよならの湿度
また逢う日まで 逢えるときまで
別れのそのわけは話したくない
名曲「また逢う日まで」の、
作詞家、阿久悠は著書
「ぼくのさよなら史」の中で
こう語っている。
人間はたぶん、さよなら史が
どれくらいぶ厚いかによって、
いい人生かどうかが決まる。
人の心はいつも少し湿り気を帯びて
いなければならない。
カラカラに乾いていては味気ない。
人の心には、さよならによって
湿りが加わるのである。
阿久悠の歌は、それが底抜けに
明るい歌であっても、いつも少し湿っている。
湿っているからこそ、乾いた心に深く、
染みていくのかもしれない。