厚焼玉子 18年4月14日放送
タイタニック ホイッスル
彼らは転覆して上下が逆さまになった救命ボートの上で
一晩中沈まないようにバランスを取り続けていた。
体力の限界が来ていた。
明けがたになって救助の船が見えたが、
6km先に停泊している救助船が自分たちを発見するまで
生きていられるかどうか自信がなかった。
しかし、夜がすっかり明けてみると
700mの距離に仲間のボートがいた。
おーい
声をかけたが届かない。
そのときひとりの航海士がポケットからホイッスルを取り出して
空気を裂くような音で鳴らした。
救命ボート4号と12号が近づいてきた。
ホイッスルのひと吹きで
彼らはタイタニック生存者の仲間入りをした。
1912年の今夜、
タイタニックは氷山に衝突する。