佐藤日登美 18年4月15日放送
壁を越える 人生を変えた壁
旧東ドイツに住む物理学者の女性は、
木曜日をサウナの日と決めていた。
その木曜もサウナに行き、友人とビールを楽しんだあとバーを出ると、
街を分断する壁がたたき割られていた。
1989年11月9日、木曜日。
歴史的な一日となった、ベルリンの壁崩壊の日だった。
市民の手で壊されていく壁。
歓喜に湧き立つ人々。
「今こそ物事を変えることができる、何かをすることができる」と
彼女は思った。
その直感に従い、彼女は勤めていた科学アカデミーをやめ、
政治の世界へと進んだ。
そして、ドイツ初の女性首相となった。
彼女の名前は、アンゲラ・メルケル。
壁の崩壊が、ドイツの未来を築いた。