小野麻利江 18年4月29日放送
わたしのはなし パブロ・ピカソと模写
わたしとは、なんだろう。
画家、パブロ・ピカソは、
生涯の中で作風を
目まぐるしく変えていった。
青色を主に用い陰鬱なテーマを描いた、「青の時代」。
恋人をモデルにし、明るい色調の作風が続いた「ばら色の時代」。
セザンヌからの影響をきっかけとした、「キュビズムの時代」。
丸みを帯びた写実的な描写になった
「新古典主義の時代」。
そして、非現実的で怪物のようなモチーフを
数多く描いた、「シュルレアリスムの時代」。
なぜここまで、過激に変化したのか。
そのヒントが、ピカソのこんな言葉から読み取れる。
他人を模写するのは
必要なことである。
しかし、
自分を模写するのは哀れなものだ。
ピカソにとっての「わたし」。
それは、一瞬たりとも同じであることが
許されない存在、なのかもしれない。