うたのはなし
いいうたって、なんだろう。
世界最古と言われる歌がある。
3400年前にシュメール人が
石版に刻んだ賛美歌のメロディだ。
ひとが一番最初に音を奏でた時、
ひとは祈りをその心に抱いていた。
いいうた、それは心に宿るうた。
うたのはなし
いいうたって、なんだろう。
世界最古と言われる歌がある。
3400年前にシュメール人が
石版に刻んだ賛美歌のメロディだ。
ひとが一番最初に音を奏でた時、
ひとは祈りをその心に抱いていた。
いいうた、それは心に宿るうた。
sa_ku_ra
うたのはなし 大阪うまいもんの歌
いいうたって、なんだろう。
関西人ならきっと誰もが知っている
「大阪うまいもんの歌」という手遊び歌がある。
保育園や幼稚園で子どもたちに歌い継がれてきた。
♪大阪にはうまいもんがいっぱいあるんやで〜
をはじまりに、たこ焼きや、もんじゃ焼き、かに道楽まで
紹介していく。
育ち盛りの子どもたちが思わず口ずさむ。
それは、大阪を代表する、花マルの「いいうた」だ。
うたのはなし What a Wonderful World
いいうたって、なんだろう。
世界中の人々を泣かせた名曲、
「What a Wonderful World」
そのタイトルを聴くだけで
ルイ・アームストロングの濁声がリフレインし、
偉大な愛に包まれるような気持ちになる。
作詞・作曲は音楽プロデューサーの
ボブ・シール。
ベトナム戦争を嘆き、
平和な世界を夢見て書かれたその歌詞は
戦争のことにはひとこともふれず、
ただただ美しい言葉で綴られている。
どんなにこの世が不条理でも
それでも、世界は素晴らしくなれる。
そう言い聞かせてくれるように。
いいうたには、希望がある。
その希望を忘れさせないために
うたは歌いつがれ、聴きつがれてゆく。
Christopher.Michel
うたのはなし くじらのうた
いいうたって、なんだろう。
ザトウクジラはラブソングを歌うことで知られているが、
決まった時期にみんなが口ずさむ流行のうたがあったり、
その曲にアレンジを加えてみたり、
歌い終わるのに1日かかるうたもあるのだという。
どんなラブソングも、自分らしく歌い上げること。
いいうたの極意を、くじらのうたから学んでみる。
しらたきあおい
うたのはなし 小沢健二のうた
いいうたって、なんだろう。
「渋谷系」の言葉に代表されるアーティスト、小沢健二。
1995年、人気絶頂の中リリースされたうた「さよならなんて云えないよ」。
タイトル通り、この曲には「さよなら」という言葉は一度も登場しない。
それでも、別れが近いことをお互いが感じ取っている
その切ない様子が、つとめて明るく描写される。
別れは美しくもある。
彼なりの美学が、このうたには込められている。
♪”オッケーよ”なんて強がりばかりをみんな言いながら
本当は分かってる2度と戻らない美しい日にいると
そして静かに心は離れてゆくと
うたのはなし ペギー葉山とドレミのうた
いいうたって、なんだろう。
小学校でも習う「ドレミの歌」は、
元はブロードウェイミュージカルの劇中歌だった。
ジャズシンガーでもあるペギー葉山が
アメリカの劇場で聴いて感動し、
帰りの飛行機で翻訳をしたという。
実は、オリジナルにはドーナツもレモンも出てこない。
ドーナツからはじまる歌詞に関して、彼女は
戦争中にいちばん食べたかったものが
ドーナツだったと新聞のインタビューで答えている。
日本中のこどもに愛されているうたには、
意外な想いがこめられていた。
うたのはなし 口ずさむうた
いいうたって、なんだろう。
歌詞もメロディもうろ覚えのうたは、
いいうただろうか。
ひとりで運転しているとき、
料理をつくっているとき、
誰かを待っているとき、
口ずさむ、うた。
うまくもない、正しくもない
けれど、100%自分のためのうた。
心理学者であり哲学者でもある
ウィリアム・ジェームズはこんな言葉を残した。
人は幸せだから歌うのではない。
歌うから幸せなのだ。
今日、あなたはどんなうたを口ずさみましたか。
うたのはなし 越路吹雪のうた
いいうたって、なんだろう。
圧倒的な表現力でシャンソンを歌い上げた、
歌手・越路吹雪。
しかし何千回も歌っている「愛の讃歌」ですら、
歌うたびに、1からつくりあげようとした。
「あなたの燃える手で」とは、どんな手?
むつかしい。どうやって歌おうか。
じっくり掘り起こし、
稽古が終わる頃には、クタクタになっていたという。
越路自身も晩年、
TV番組のインタビューの中で、こう語っている。
歌になるまでには時間がかかります、消化するまで。
いいうたには、愚直なまでの情熱が宿っている。
白石准
絵本のひと かこさとし
絵本作家になる前の、
かこさとしさん。
自作の紙芝居で
子どもたちをよろこばせようと
意気込んでいた。
ところが、かこさんが話し始めると、
一人減り、二人減り、
ついには赤ちゃんをおんぶした
おばあさんだけになってしまった。
みんなザリガニを採りに行ったと聞かされ、
地団太を踏む、かこさん。
こんちくしょう。
なんて小憎たらしい!
でも・・・
小憎たらしいって、生きてる感じがするな。
かこさんの絵本に優等生は登場しない。
わがままで愛らしくて、
なによりいきいき生きている。
絵本のひと 五味太郎
絵本作家の五味太郎さん。
編集者にこんな質問をされた。
「五味さんは子どもたちに何を伝えたいですか?」
「特にありません。」
「じゃ、どうして描いたんですか?」
「おもしろかったから。」
子どもは教わりたいなんて思わない。
と、五味さんはいう。
小学生の頃、穴を掘るのに夢中で、
授業中も穴のことばかり考えていた五味さん。
あの日の気持ちのまま描いた絵本が、
おもしろくないはずがない。
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