佐藤日登美 18年6月10日放送
Merrick Brown
時の記念日 人生の一時間
1921年、シカゴ。
死刑判決を言い渡されたギャングがいた。
サム・カーディネラ。
彼がこの世を去る時間は、
4月15日金曜日、午前8時に決まった。
だが彼は言った。
「判決が出たのはサマータイムが始まる前。
サマータイムのせいで、俺の人生から一時間が奪われることになる。
死んだあとならどうでもいいが、この金曜の朝は違う」
サマータイムとは、3月から11月の間、時計の針を一時間早めること。
それは、カーディネラのささやかな抵抗だった。
彼の主張は受け入れられ、
死刑執行は一時間繰り下げられた。
たった一時間。
それでも、人は生きようとする。
今日は、時の記念日。