小野麻利江 18年6月24日放送
空のはなし 星座の空
人工的な照明によって
夜空が薄明るくなる、はるか前。
人間にとって、空はコンパスであり、時計だった。
夜空を動く、星の流れ。
遊牧民族はそれらの動きで自分の位置を知り、
農耕民族は、作物の種まきや収穫の時期の目安とした。
いまどの星が、空のどこにあるのか。
それを分かりやすく、伝えやすくするために、
いつしか生み出されたのが「星座」。
隣り合う明るい星を、いくつかのまとまりにして。
さらに覚えやすくするために、
そこに、祖先から伝わる伝説などのモチーフを当てはめた。
星座は、世界じゅうで発生したどの文化にも存在しているという。
しかし、現在もっとも良く知られている88の星座の多くは、
古代メソポタミア文明からエジプトを経由し、
古代ギリシアで神話が追加されたものがベースとなっている。
人工的な照明によって
夜空は薄明るくなってしまったが、
数々の星座の存在は今もなお、
空の豊かな物語の、目次となっている。