石橋涼子 18年6月24日放送
Bundesarchiv Bild 183-H28795
空のはなし トーマス・マンと夜空
ドイツのノーベル賞作家、トーマス・マン。
自分に厳しく、小説を書くにあたっても
周到な下調べや、細かな根拠づけを欠かさなかった。
文章を書くときは書斎にこもり神経を研ぎ澄ます。
家にいる子供たちにも静寂を求めたという。
なんだか堅物な印象のトーマス・マンだが、
こんな言葉も残している。
いま、私が一番好きな仕事は
夜に星空を眺めることです。
なぜと言って、
この地上から、
この人生から眼を逸らすのに
これほど良い方法があるでしょうか。
偉大な父も時には、やれやれ、と息をつきながら
星空を眺めたものか。
もしくは、もっと視野を広げなければなどと、
堅苦しいことを考えたりしたものか。