海の舟 勝海舟
幕末から明治にかけて活躍した政治家、勝海舟。
日本が開国を迫られた時代に
世界と対等に渡り合うために力を尽くしたことで知られる。
1860年、軍艦「咸臨丸」による渡米も、彼の功績のひとつ。
幕府としては初めての、太平洋横断だった。
勝は、艦長として乗り込んだ。
しかし、およそ40日間に渡る航海のあいだ、
自分の部屋にこもりきりだったという。
理由は船酔い。さらに、伝染病の疑いまであったそうだ。
長い航海の間、衛生管理が行き届かず、
咸臨丸で伝染病が流行してしまった。
海の上では、逃げ場もない。
艦長の頼りない姿に、共に渡米した福澤諭吉は
ひどく呆れていたという。
海の舟と書き、海舟。
そう自ら名乗った男が、海の舟に酔ってしまうとは、、、
時代の荒波を乗り越えた幕末の英雄も、
本物の波は苦手だったらしい。