2018 年 8 月 25 日 のアーカイブ

永久眞規 18年8月25日放送

180825-01
eliduke
空港のはなし アイス飛行場

世界一過酷な飛行場の1つと言われている
アイス飛行場(Ice Runway)をご存じだろうか?

場所は、南極・ロス島。
アメリカの科学調査拠点である
マクマード基地の近くにあり、
名前の通り、海に浮かんだ氷でできている。

氷の状態が一番良い時期でさえ、
着陸時には飛行機の重みで
氷がたわむというこの飛行場。
海氷が最も脆くなる12月になると、
翌年の春まで閉鎖されてしまう。

遠くから飛んできた飛行機が陸地に降り立つ。
無事に着いたことに喜び、
誰もがホッとする瞬間のはずが、
ここアイス飛行場では
誰もが凍りつく瞬間になるのである。

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村山覚 18年8月25日放送

180825-02
Stefan Sjögren
空港のはなし ストックホルム・アーランダ空港

ストックホルム・アーランダ空港。
誘導路の横に10年以上動いていない
ジャンボジェット・ボーイング747が停まっている。

ジャンボ機の真下で記念撮影をする旅行者もいれば、
大きな翼の上を歩く人も。翼の下にある
4つのエンジン部分にはなぜかドアが付いている。
飛行機内に入ると制服を着たクルーはいるが、
離陸の準備をする様子もなくにこやかに接客している。

実はこのジャンボ機、現在は宿泊施設として営業中。
2002年までは世界中を飛び回っていたが、
今は1マイルも動かずに、
世界中からやってくる航空ファンを楽しませている。

操縦桿が残るコックピットや、
ジェットエンジンがあった場所のベッドで見る夢は……
やはり大空を飛ぶ夢なのだろうか。

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仲澤南 18年8月25日放送

180825-03
James.Stringer
空港のはなし バラ空港

スコットランドの小さな島にある、バラ空港。
世界で唯一、ビーチに滑走路を持つ空港だ。

普段は観光客で賑わうビーチが、
1日数時間、潮が引く間だけ滑走路になる。
目印は、空港としての営業時間であることを示す吹き流しだ。
滑走路としての設備は、
注意を促す看板と終点に打たれた木の杭のみ。
それ以外はほぼ自然のままのビーチが広がっている。
その豊かな景色から、
世界一美しい空港の一つとしても名高い。

滑走路は潮が満ちると水没し、
潮が引いても海水に浅く覆われる。
そこへ着陸する飛行機。
水しぶきを上げるその様子は、
着陸というよりも着水に近い。

自然を残した簡易な設備での、
潮の満ち引きに左右される離着陸。
特に着陸はパイロットの勘に頼るところが大きいという。
世にも美しい空港は今日も、
パイロットたちの腕に支えられているのだ。

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藤本宗将 18年8月25日放送

180825-04
Frank Kehren
空港のはなし 

テンジン・ヒラリー空港。
かの有名な登山家の名を冠したその空港は、
ネパール東部のルクラという街にある。

その名から想像できる通り、
エベレストのネパール側登山口として利用される。
だが登山家たちにとって、
この空港は最初の関門と言えるのだ。

山の天候が非常に変わりやすいというだけではない。
標高が2,800 mと高いために大気密度が低く、
エンジンの燃焼効率が悪くなり、翼も揚力を得にくい。
なのにこの空港では、
たった一本しかない滑走路の長さがわずか460m。
パイロットには高度な技術が要求される。

着陸の際は滑走路南側からの侵入となるが、
12%の上り勾配が付いており、その先は山と壁。
スピードを落としきれなければ壁に激突する。
引き返してのやり直しもきかない、一発勝負。

離陸の際は逆に滑走路の北側から
下り坂を直進していくかたちになる。
短い距離で速度を上げなければならないが、
滑走路の先は深さ600mの谷。
離陸に失敗すれば、奈落の底だ。

登山の前からこれほどの試練を与えるとは。
やはりエベレストは、世界一の山だけのことはある。

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福宿桃香 18年8月25日放送

180825-05
InSapphoWeTrust
空港のはなし サザンカリフォルニア・ロジスティックス空港

飛行機の墓場―
そう呼ばれる空港をご存知だろうか。

アメリカの砂漠にある
サザンカリフォルニア・ロジスティックス空港には、
退役後の飛行機が保管されている。

その数、およそ300機。
ANA、ユナイテッド航空、中国国際航空、シンガポール航空…
第一線で活躍していたジェット機たちは
この場所でエンジンを取り外され、窓を金属箔で覆われ、
一生を終えるのだ。

世界中から集まるのは、飛行機ばかりではない。
美しく整列したその姿を写真におさめようと、
航空マニアもまた、世界各国からこの地を訪れる。

役目を終えて時が経っても、
今日も誰かが“墓参り”にやってくる。
人の役に立ち続けた飛行機らしい最期だ、と思った。

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