ロシアの昔話 コトフェイ
19世紀半ば、ロシアの昔話を蒐集した人物がいた。
アファナーシエフ。彼は昔話を知ることで、
最古の人々の暮らしを知ることができると考えた。
コトフェイという名の猫と暮らしていた。
「ねことキツネ」という昔話に登場する猫の名だ。
いたずらな猫・コトフェイは、家を追い出されて森へ行く。
そこでずる賢いキツネと結婚して、
どんな獣もびくつかせるほどになった。
力のない庶民が生き抜くため知恵が、
ここに隠れているのかもしれない。
ロシアの昔話 コトフェイ
19世紀半ば、ロシアの昔話を蒐集した人物がいた。
アファナーシエフ。彼は昔話を知ることで、
最古の人々の暮らしを知ることができると考えた。
コトフェイという名の猫と暮らしていた。
「ねことキツネ」という昔話に登場する猫の名だ。
いたずらな猫・コトフェイは、家を追い出されて森へ行く。
そこでずる賢いキツネと結婚して、
どんな獣もびくつかせるほどになった。
力のない庶民が生き抜くため知恵が、
ここに隠れているのかもしれない。
ロシアの昔話 プーシキン
ロシアの文豪、プーシキンも民話の編纂を行っている。
「ルスランとリュドミラ」の序章は、ばあやが語ってくれた
昔話をヒントにしたのではないかと言われている。
入り江のほとりに樫の木があり、
その樫の木には金の鎖がかかっている。
金の鎖を伝って、ねこが歩く。
のぼるときには昔話を語ります。
おりるときには歌を歌います。
ねこが語る昔話は、お坊さんや寺男、お坊さんの娘が登場する。
爪を研いで皇帝に見せつけ「たいそう恐い」と思わせようとする。
昔話には、庶民の欲望が隠れている。
皇帝の護衛は昔話の語り手をむち打ったという。
ロシアの昔話 ドモヴォイじいさん
古代ロシアの地に住んでいたスラブ族の言い伝えには、
かまどの神様が登場する。
スラブ人にとって、家で大切な場所はかまどだった。
かまどの火は豊かさと安全としあわせの守り神だ。
その神が人格をあたえられてドモヴォイじいさんになった。
小柄なずんぐりした老人
半コートか青い裾長上着に赤い帯をしめている
白いあごひげ
髪の毛はもじゃもじゃ、全身毛むくじゃら
かまどの後ろに住んでいる
ドモヴォイは、家を見張ってくれる。
家畜も守る。一家の富も守る。
でも、それだけじゃなくて、いたずらもする。
夜になると、馬のたてがみやしっぽ、一家の主のあごひげを
三つ編みにしたりする。
よその家のドモヴォイと戦うこともある。
日本にもかまどの神様がいる。
家の守り神であり、農耕の神様だ。
ドモヴォイじいさんと違って、
こちらはいたずらはしないようだ。
ロシアの昔話 眠り
ロシアの昔話では、主人公が手柄を立てる前や
後に眠っていることが多い。
眠りとは、冬のことではないかと考える歴史学者がいた。
冬になると植物はすべて枯れてしまって
死んでしまったようにみえる。
春の雨が降ると、大地が目覚め
緑と花々が芽吹く。
春と夏の実りは、主人公の手柄に見立てられる。
その後の長い冬が眠り。
雨と太陽のキスで目覚める。
昔話は、自然がつづる物語なのかもしれない。
ロシアの昔話 おんどりとめんどり
ロシアの昔話、おんどりとめんどり。
ふたりは森へクルミをとりにいく。
おんどりが木にのぼり、クルミをおとし、めんどりが拾う。
ところがクルミが目に当たって、片方がつぶれてしまう。
めんどりが泣いていると大貴族がやってきて
なぜ泣いているのかと聞く。
おんどりが私の目をつぶしたのです。
おんどりは、クルミの木がズボンを破ったせいだと答えます。
クルミの木は、ヤギたちが足をかじったという。
ヤギたちは、牧童が守ってくれないから。
牧童は、おかみさんが祝祭日のクレープを
食べさせてくれないから。
おかみさんは、ブタがねり粉をこぼしたから。
ブタは、オオカミが子ブタをさらったから。
オオカミは、はらぺこだったから子ブタをさらった。
これも神様のおぼしめしだという。
これは大貴族をバカにした話のようだ。
批判を口にできない市井の人々の、はけ口だったのかもしれない。
ロシアの昔話 バーバ・ヤガー
ロシアの昔話に出てくる、バーバ・ヤガー。
深い森の中、にわとりの足の上に建つ小屋。
必要なときに向きを変えることができる。
その小屋のなか、いっぱいに寝ているのが
バーバ・ヤガー。
バーバ・ヤガーの不思議なところは、
善にも悪にもなるところ。
ひとふりすると橋が現れる魔法のタオルをくれたかと思うと
さらってきた子どもをペチカで焼いて食べようとする。
いいおばあさんなのか、鬼婆なのか。
骨の足のバーバ・ヤガーは、臼にのっていて、
杵でこぎながら、箒で跡を消して去って行く。
優しくもあり恐ろしい、森そのものような存在だ。
ロシアの昔話 大きなカブ
カブが育ちすぎて抜けなくなる。
おじいさんがカブをひっぱり
おばあさんが助けにきて、
次に孫娘、犬がやってくる「大きなカブ」
ついに猫もネズミも手伝って、やっとカブは抜ける。
この昔話のバリエーションには
一本足が次々に助けに来るバージョンもある。
足が一本登場し、続いて二本目、三本目と
次々に足がやってくる。
最初の足は犬をひっぱって、
次の足は前の足をひっぱる、
その次の足はその前の・・と続いていく。
なぜ足なのか。それは今では誰もわからない。
昔のロシアでは、大きな収穫を得るには
「足」が肝心だったのかもしれない。
「足」で大地を踏みしめ、家畜を追いかける。
「足」が活躍する暮らしだったのだろう。
ロシアの昔話 どこか知らんがそこへ行け、なにか知らんがそれをもってこい
ロシアの昔話
「どこか知らんがそこへ行け、なにか知らんがそれをもってこい」。
なんとも無責任な題名だ。
これは皇帝がりりしい若者を遠ざけるために言った言葉。
皇帝は若者が破滅するだろうと思ったのだ。
けれど若者は皇帝の知らない道を見つけ、知らない何かを探し出す。
若者は森に入って、キジバトを見つける
キジバトは、自分を殺さないで、家にもって帰って
窓辺におけ、という。そしてうとうとしたら
右手で思いきりぶてと。
はたして若者が思い切りぶつと、
キジバトはこの世のものとは思えぬ美しい娘に変わる。
荒唐無稽な題名と意外すぎる展開。
ロシアの昔話は、奥が深い。
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