石橋涼子 18年11月25日放送

181125-03

靴のはなし 

 It isn’t the mountain ahead that wears you out;
 it’s the grain of sand in your shoe.

 人の気力を奪うのは、行く先に横たわる山々ではなく、
 靴の中の砂粒である。

これは、イギリス生まれの詩人、
ロバート・W・サーヴィスの言葉。

意気揚々と踏み出した最初の一歩に違和感があると、
あとはもう気になってしようがないのが、人情というものだ。

しかし、そういった小さなトゲのような悩みは
意外と他人にはわかってもらえないもの。

英語のことわざに、こんな言葉がある。

 Only the wearer knows where the shoe pinches.

 靴のどの場所が痛むかは、履いているものしかわからない。

苦労は他人にはわからない。
靴の中の小石を取り除き、再び歩き出すことは、
自分にしかできないことなのだ。

だからだろうか。
良い表情で歩いている人は、良い見栄えの靴を履いている。
しょんぼり歩く人は、しょんぼりした靴を履いている。

オシャレな人が多いイタリアのことわざでは、
靴は、その人の人格を表す。
という。

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