蛭田瑞穂 19年3月10日放送
山田風太郎と東京大空襲
小説『南総里見八犬伝』の作者として知られる山田風太郎。
医学部の学生だった山田は昭和20年1月1日から12月31日までを日記に綴り、
のちにそれを『戦中派不戦日記』として発表した。
3月10日の空襲のあと、山田は荒涼たる東京の景色を目にする。
そして、こう綴る。
鳥も鳴かない。青い草も見えない。
ただ、舗道のそばに掘り返された防空壕の土に、砂塵がかろく立ち迷い、
冷たい早春の光が虚無的な白さで満ちているばかりである。
今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。