守り抜いた写真
戦時中の記録写真を撮るようにと、
警視総監に直々に命を受けた男がいた。
警視庁に勤める、石川光陽。
ある夜、なぜだか空襲の予感がした石川は警視庁に泊まりこんだ。
翌日未明、町中に警報が鳴り響く。
東京大空襲の始まりだった。
彼のライカのなかには、焼け焦げた遺体や
煙でくすぶる東京の街が収められている。
戦後、GHQから空襲の様子を撮影したネガの提出を求められたが、
石川は自宅の庭に埋めて隠し通した。
守り抜いた写真は、戦争を語る貴重な資料となっている。
今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。