澁江俊一 19年4月21日放送
茶碗の価値
茶の湯を愛した武将といえば
真っ先に思い浮かぶのは織田信長。
特に信長が惚れこんだのは
名物と呼ばれる「茶碗」だった。
日本中から集められた名物は
趣味として愛でるにとどまらず、
政治的に大いに利用した。
名物茶碗の数々を茶会で披露し
織田政権の富と権力を誇示したり、
名物を褒美として家臣に与えることで
茶碗ひとつに一国一城も相当する価値をつけた。
さすが信長、まさに名プロデューサー。
武将の中には
土地という具体的な褒美よりも
茶碗のほうが嬉しかったという者もいたほど。
当時は分け与えられる領土も
限りがあったため
信長にとって名物の茶碗は
家臣の忠誠度を保つ
最高の道具だったのだ。