礒部建多 19年4月21日放送
沈黙の音
騒々しい毎日の中で、
「沈黙の音」を感じられる瞬間。
それが、茶の湯。
茶の湯には、
三音という、茶を点てる時の心得がある。
釜の蓋をずらす音、
茶筅の穂を茶碗の湯に通すこと、
茶碗に茶杓をあてる音。
異説もあるが、
これ以外の音を立てないことが理想とされている。
しかし、むしろ限られた音を意識してたてるという発想に近い。
茶の湯では、言葉を使わない。
その分、音が声となる。
心遣いを、音に託すのである。
「沈黙の音」。
それは何よりも雄弁な音なのかもしれない。