澁江俊一 19年5月19日放送
渋沢の温情
1万円札の新しい顔になるのは
経済人では初めて日本のお札になる渋沢栄一。
明治25年。
53歳の時に渋沢は暴漢に襲われた。
幸いにして軽いけがで済んだが暴漢は逮捕された。
彼らは金で雇われただけと
裁判官に寛大な処置を願った渋沢。
しかし暴漢は有罪となり刑に服した。
後に出獄してからその男が
生活に困っているという話を聞くと
渋沢は商売の資本にでもなればと
いくばくかの金を送り届けた。
男は恐縮して渋沢に
礼を言いにやってきたという。
日本資本主義の父と言われ
500社以上の企業の設立にかかわった渋沢。
彼が立ち上げた企業の多くが
今もなお活動を続けているのは
渋沢が名もなき民の心を
誰よりもわかっていたからかもしれない。