古居利康 19年5月25日放送
英一蝶・島一蝶
英一蝶という絵師がいた。
四十七歳で三宅島へ島流しになった。
島へ送られるその日、
江戸霊岸島に大勢の見送りが詰めかけるなか、
一蝶はこんな約束をする。
「島に行ったら、
干物をつくって生計を立てる。
その魚のエラに必ず松の葉を入れておく。
松の葉の入った干物を見つけたら、
わたしが生きている証しと思ってほしい」
三年後、
じっさいに松の葉が入った干物を
見つけた男がいる。
松尾芭蕉の一番弟子、宝井其角。
英一蝶の、無二の親友だった。