Norio.NAKAYAMA
英一蝶・島一蝶
江戸の人気絵師、
英一蝶は島流しに遭った。
島にいても絵をあきらめなかった。
江戸の友人たちに
絵の具の仕送りを頼んだらしい。
流人であっても、手紙や物資のやりとりは
許されたのだろうか。
一蝶は絵を江戸に送った。
その絵は珍重され、高値で取引された。
島の人にも観音様や天神様の絵を進呈した。
この時代の英一蝶の作品は
のちに「島一蝶(しまいっちょう)」と呼ばれるようになる。
島一蝶の作品で財を成したのか、
英一蝶は罪人の身でありながら島の娘と
所帯をもって、子どもを二人ももうけた。
江戸の人気絵師は、
ころんでもただでは起きない、
したたかな男だった。