2019 年 8 月 11 日 のアーカイブ

薄景子 19年8月11日放送



太陽のはなし ウィルコックスの言葉

人生には、光もあれば闇もある。
暗闇のさなかにいるときは、
トンネルから永遠に抜けられないのではと
不安に駆られることもある。

そんな時に思い出したいのが
アメリカの詩人、
エラ・ウィーラー・ウィルコックスの言葉だ。

 ひとつひとつの悲しみには意味がある。
 時には、思いもよらない意味がある。
どんな悲しみであろうと、
 それは、このうえなく大切なもの。
太陽がいつも朝を連れてくるように、
 それは確かなことなのですよ。

不確かなことだらけの世の中で
太陽は、何十億年にもわたって、
毎日、裏切ることなく朝を連れてくる。

永遠に約束された光があるから
人は今日も前を向ける。

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茂木彩海 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽と芸術家の関係

あらゆる芸術家と親交があったと言われている、
19世紀を生きたフランスの作家、ロマン・ロラン。

学生時代には文学を学ぶ傍ら、美術や音楽などアート活動に没頭。
その後文学作家となってノーベル文学賞を授与した
「ジャン・クリストフ」ではその知識と情熱から、全10巻に渡り
ベートーヴェンを主人公にした物語が紡がれている。

彼が遺した言葉に、太陽と芸術家にまつわるこんな一文がある。

 太陽がないときには、それを創造することが芸術家の役割である。

美術館の細い廊下を抜けた途端、素晴らしい絵画を目の当たりにした瞬間。
コンサートホールで鳥肌が立つほど美しい旋律を聴いた瞬間。

曇った心は晴れやかに、気持ちを一変させてくれる。

芸術家が生み出しているのは、
誰かの心を照らす小さな太陽、なのかもしれない。

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小野麻利江 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽が光を奪われた年

「人類史上最悪の年」。
中世を専門とする歴史家によると、それは「西暦536年」。
「太陽が光を奪われた年」だという。

その年の初め、アイスランドで噴火が起き、
火山灰が、北半球中に撒き散らされた。
その火山灰が微小な固体の粒子・エアロゾルの幕となって、
太陽の光を遮ってしまった。

ヨーロッパ、中東、アジアの一部で霧が垂れ込め、
なんと18ヶ月にも渡って、昼夜を問わず暗闇が続いたという。

夏の気温は3度近く下がり、
中国では夏に雪が降り、
東ローマ帝国の3人に1人の命を奪う
「腺ペスト」の蔓延のきっかけとなった。

東ローマ帝国の歴史家・プロコピウスは、こう記している。

1年中、まるで月のように太陽の光から輝きが失われた

人間の営みに、太陽は欠かせない。
この先、さらに、科学が進歩しても。

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石橋涼子 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽は何色か

太陽の絵を描いてください。
と言われたら、何色を使うだろうか。
日本では赤が多いかもしれないが、
海外では黄色やオレンジが主流だ。
朝日や夕陽、シーンによっても違うかもしれない。

宇宙空間で観察すると、太陽は白だと言う。
いくつもの光が混ざり合っており、
全ての光を重ねあわせると白色になるのだ。

それでも私たちが異なる色だと認識するのは、
地球にある空気のせいだったり、
人間の目が感じる色のちがいだったり、
あるいは、単なる思い込みだったりする。

空は青く、雲は白く、太陽は赤い、
というイメージを
一度リセットしてみるのも楽しいかもしれない。

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石橋涼子 19年8月11日放送



太陽のはなし ゲーテと太陽

ドイツの文豪ゲーテは、多くの名言を残したが、
総じて、人の持つ感覚の前向きな部分を
肯定する言葉が多いことでも有名だ。
そんな彼の言葉。

 太陽が素晴らしいのは、すべての塵を輝かせることだ。

午後の昼寝から目覚めると
カーテンの隙間から差し込む太陽の光が
塵をキラキラと照らしている。
そんな風景に覚えはないだろうか。

空気中には塵や埃が意外と多いと驚くこともできるが、
見方を変えれば、
塵のように取るに足らないものだって
光の当て方ひとつで輝いて見える、と思うこともできる。

ここはひとつ、ゲーテの言葉を信じて
明るい方を向いていきませんか。

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薄景子 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽という万能薬

イタリアのことわざに、こんな言葉がある。

 陽が差し込まぬところに医者がくる。

逆を言えば、陽が差すところに医者はこない。
そう。太陽には、人間を健やかに保つ、
計り知れない力がある。

朝の光を浴びれば、体内時計がリセットされ、
眠気は覚め、夜の眠りの質も高められる。

また、太陽光を浴びることで、「幸せホルモン」といわれる
セロトニンの分泌が促され、鬱々とした気分も晴れる。

さらに、日光浴はビタミンDの体内生産を促し、
脳機能の維持、情緒の安定、骨粗しょう症の予防など
さまざまな効果をもたらすという。

太陽はすべての命を輝かせる万能薬。
美白ブームで忘れられがちな
その恩恵に、あらためて感謝したい。

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熊埜御堂由香 19年8月11日放送



太陽のはなし 太陽常温説

真夏の日本を焦がす太陽。
その表面温度は6000度もの高温と言われている。
でも、それを確かめに行った人間はいない。
実は、太陽の表面温度は26度程度とする
「太陽常温説」を唱えている学者もいるのだ。

太陽により近い上空が、地上よりも低温なのはなぜか?
18世紀に、天王星を発見した天文学者、
ウィリアム・ハーシェルが疑問に感じ、最初に唱えた。

正直、こんなに暑いのに、
それが太陽の放つ熱の仕業でないとは思えないけれど。
太陽みたいな絶対的な存在さえ疑ってみる。
その知的好奇心があれば、事の真偽を確かめるため
人類が、太陽へたどり着く日もくるかもしれない。

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若杉茜 19年8月11日放送



太陽のはなし たんぽぽのお酒

レイ・ブラッドベリの名作、『たんぽぽのお酒』。

少年ダグラスの目を通してみた、1928年のひと夏が描かれた小説だ。
彼の見たみずみずしい夏は、太陽が昇るシーンから始まる。

夏の始まり、丘の上から「みんなおきて」と街の人々に呼びかけるダグラス。
さながら、指揮者のように。
最後にダグラスがパチン、と指を鳴らすと
太陽がゆっくりと昇ってくるのだ。

たんぽぽのお酒は、小説の中で夏の間毎日作られる。
そして、1日1日のラベルを付けて、夏の終わりには棚にずらりと並ぶ。
1928年の太陽が注がれたお酒は、いったいどんな眩しい味がするのだろう。

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