2019 年 8 月 のアーカイブ

蛭田瑞穂 19年8月25日放送



夏の飲み物  ピニャ・コラーダ

夏に飲みたいカクテルといえば、ピニャ・コラーダ。

ホワイトラム、パイナップルジュース、
ココナッツミルクを十分にシェイクし、
クラッシュドアイスを入れたグラスに注ぐ。
最後にカットしたパイナップルを添えたらできあがり。

ピニャコラーダは村上春樹の小説
『ダンス・ダンス・ダンス』の中にも印象的に登場する。

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星合摩美 19年8月25日放送



夏の飲み物  甘酒

「あまい、あまい、あ〜ま〜ざ〜け〜」
甘酒売りの売り声は夏のお江戸の風物詩。

甘酒にはビタミンやブドウ糖などが豊富に含まれ、
夏バテ防止の栄養ドリンクとして大人気だった。
幕府は老若男女問わず元気にしてくれる甘酒を、
手軽に味わえるように値段の上限を4文、現在の100円程度と定めた。

江戸時代より暑いと言われる現代の夏。
甘酒のひんやりとしたのどごしが心地良い。

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星合摩美 19年8月25日放送



夏の飲み物  ジントニック

世界で最もスタンダードなカクテルのひとつ
ジン・トニックが誕生したのは、18世紀の大英帝国。

熱帯の植民地でマラリア予防として飲まれていたトニックウォーターに、
熱病予防の薬酒でもあった蒸留酒ジンを加えたのが起源と言われている。
第二次世界大戦後には世界中に広がり人気となった。

スッキリとした味わいに、レモンやライムの柑橘系がもたらす爽やかな香り。
今や熱帯と化した日本の夏にもぴったりの一杯です。

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永久眞規 19年8月24日放送



武将と日本酒

戦国時代最強の武将とも言われる上杉謙信。
彼の死に際をご存知だろうか?

まだ寒さの残る天正6年3月。
49歳で帰らぬ人となった謙信。
その場所は戦場ではなく、春日山城内の厠だった。

死因の最有力説は、なんと酒ゆえの脳卒中。

なにを隠そう彼が治めていたのは越後、今でいう新潟。
謙信が大の酒好きだったのも頷ける。

しかも彼のもっぱらのつまみは、梅干しと塩。
大量のアルコールと塩分摂取で、
高血圧だったことは想像に難くない。

そして彼の辞世の句がこちら。

 四十九年一睡夢 一期栄華一盃酒

この句のように、
生涯も最後は酒でしめたのだろうか。

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村山覚 19年8月24日放送



日本酒の親戚

日本酒は、原料のお米を磨く割合によって
味と呼び名が変わってくる。
お米を50%以上磨いて、雑味やたんぱく質などを
減らしてつくった大吟醸は華やかな香りが特長。
今の季節、キリッと冷やして楽しんでいる方も多いだろう。

中には90%以上磨いたような日本酒もあるというが
磨きが少ないものにもお米の旨みやコクがあり、
好みは人それぞれ。

ところで、米を磨く工程でできるたくさん米の粉が
どう二次利用されているかというと‥‥
お煎餅やあられ、麺類に形を変えたり、
化粧水の原料になったり。
時には、横断歩道などの白い塗料に使われることも。

おいしい日本酒を飲んでほろ酔いの帰り道、
横断歩道を見かけたらご注目を。

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藤本宗将 19年8月24日放送


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日本酒の多様性

日本酒のラベルを見ると、
精米歩合という数字が書かれている。

精米とは、酒の雑味をなくすために米粒の周囲を削り、
中心部の心白だけになるまで磨くこと。
大吟醸ともなると50%以下になる。

ついには昨年「0%」の日本酒まで登場した。
正確には0.85% なのだが、
精米歩合は小数点以下を切り捨てるため、0%表記となる。
かかった精米時間は5,297時間34分。
じつに7ヶ月を経てたどりついた究極の大吟醸酒だ。

ところがその一方で、
「低精米酒」というトレンドも生まれている。
大吟醸とは真逆の試みだ。
こちらは精米歩合96%というものまで現れた。
ほぼ玄米に近いが、これもまた旨い。

精米歩合の数字を競う時代は終わった。
日本酒の世界も「多様性の時代」なのだ。

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福宿桃香 19年8月24日放送



ノンアルコールへの挑戦

日本酒のアルコール分は、ビールのおよそ3倍。
ゆえに、ノンアルコール日本酒の開発は他の酒類に比べ困難を極めた。

金沢の老舗酒蔵・福光屋も、
開発に乗りだしたひとりだった。
最大のハードルは、アルコール自体が持つ辛みの再現。
度数が高いお酒になればなるほど
それがそのまま味の特長となっているためだ。

何を入れれば日本酒の味に近づけられるのか。
何かを入れた時点で、あの味にはならないのではないか。
研究は、10年近くつづいた。

そしてついに、2012年。
日本酒と同じ米と米麹のみを原料に
麹菌、乳酸菌、酵母を使って3度異なる発酵をさせることで、
アルコールを入れたときに近い旨みやふくらみ、酸味などの
複合的な味わいを引き出すことに成功した。

どんな人にも、どんな時にも、日本酒を楽しんでもらいたい。
世の中のノンアルコール日本酒の数々は、
日本酒を愛した職人たちの情熱の証なのだ。

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仲澤南 19年8月24日放送


とみたや
松と日本酒

松の木が日本酒を飲む、
という話をご存じだろうか。

東京都葛飾区にある、柴又帝釈天。
ここでは毎年2月頃、
寒肥(かんごえ)という行事が行われる。
境内にそびえる瑞龍松(ずいりゅうまつ)の根元に、
寒い時期の特別な肥料として日本酒を与えるのだ。
一斉にまかれる日本酒に、
辺りにはそれだけで酔えそうなほどの香りが漂うという。

木にお酒とは意外な組み合わせに聞こえるが、
実は日本酒のアルコールと糖分は
松の根を温めるとともに、菌の働きを活発にしてくれるそうだ。
おかげで、瑞龍松は樹齢500年近いにもかかわらず
今でも青々とした葉を茂らせている。

人だけでなく木にとっても、
酒は百薬の長なのかもしれない。
もちろん、適切な量であれば。

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礒部建多 19年8月18日放送


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祭りの意味

日本では一年を通して、多くの祭りが行われる。
しかし、四季によって「祭り」の意味は変わる。

春は、豊作祈願。
夏は、作物が損なわれないように「風除け」や「虫送り」。
秋は、収穫に対する感謝祭。
冬は、田の神をねぎらい、新年を迎えるための新春祝い。

一貫して、農耕と結びつくが、
夏の祭りには、「厄除け」や「鎮魂」を意味したものが多い。

例えば日本三大祭りの祗園祭は、
疫病や災厄から暮らしを守るための厄除けとして始まった。
日本各地で行われる盆踊りは、
盆に帰って来る先祖の霊を迎える鎮魂の儀式である。

華やかさの裏にある、
先人たちの切なる願いに想いを馳せれば、
夏祭りの尊さに、改めて気づかされる。

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礒部建多 19年8月18日放送


Yoshi Canopus
ししの踊り

岩手県各地に伝わる
郷土芸能、鹿踊り(ししおどり)。
鹿という漢字を当ててししと読むのは
かつて日本で山の獣の肉のことを「しし」と
呼んでいたからだと言われている。

角の生えた面をかぶって
人がシカになりきって
激しくも美しい舞を踊る。
着物を着て、太鼓を叩きながら
長い黒髪を揺らし
大地を踏み鳴らして踊る。

シカになりきることで
肉をくれる獣たちに感謝し
また肉をいただけるよう祈願し
魂を供養するのだ。

人と獣の間には
境界などない。
人もまた自然の一部に過ぎない。
鹿踊りを見ていると
そんな不思議な気分になる。

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