2019 年 9 月 のアーカイブ

野村隆文 19年9月15日放送


Hase-don
未知なるメキシコ メキシコの映画(1)

『ゼロ・グラビティ』、『バードマン』、そして『シェイプ・オブ・ウォーター』。
ここ数年、アカデミー賞を席感してきたこれらの映画の監督が、
全員メキシコ出身だということをご存知だろうか。

キュアロン、イニャリトゥ、そしてデル・トロ。
彼らが青春時代を過ごした80-90年代のメキシコは、
厳しい政治的規制の真っ只中。
それでも自らの信じる表現をつくるために、
ハリウッドを目指し、移民としてアメリカに渡った。

アカデミー作品賞を受賞したとき、デル・トロはスピーチでこう語った。
「芸術や映画が偉大なのは、砂の上に書かれた境界線を消してくれるから」。

映画の力は、国境を軽やかに越えていったのだ。

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野村隆文 19年9月15日放送


ProtoplasmaKid
未知なるメキシコ メキシコの映画(2)

2018年のヴェネツィア国際映画祭で最高賞、
そしてアカデミー賞で3部門を受賞した映画『ROMA/ローマ』。
実はローマとはイタリアの都市ではなく、メキシコの街の名前のこと。
監督であるアルフォンソ・キュアロンが子供時代を過ごした
ローマ地区が舞台の作品である。

主人公は、白人中流家庭に住み込みで働く家政婦。
1970年代から今なお続くメキシコの格差社会が、
映画を通じて見えてくる。

2019年の今。そのローマ地区には、
レコードショップやクラフトビールバーが立ち並び、
若者を中心とした流行の発信地になろうとしている。

最先端のカルチャーと、背負ってきた歴史が入り交じるローマは、
いまのリアルなメキシコを感じられる場所なのかもしれない。

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野村隆文 19年9月15日放送


Photo by Cristian Newman on Unsplash
未知なるメキシコ メキシコ人と死

昨年公開されたアニメーション映画『リメンバー・ミー』は、
メキシコのお盆とも言われる「死者の日」を題材にした作品。
オレンジ色のマリーゴールドに包まれた美しい情景のなかで、
死者と生者の交流を描いている。

実はメキシコには、「死」の呼び方が100近くもある。
さらには「死ぬ」という意味を表す慣用句も、とても豊富だという。

「歯をむき出す」「髪をほどく」という、骸骨をイメージさせる表現から、
「地面にキスをする」「骨と遊ぶ」という、ユーモアを感じさせる言い方も多い。

死はいつやってくるか分からない。
ならば、死を恐れるのではなく、今を楽しもうではないか。

メキシコの人たちは生死に誠実で、だからこそ陽気なのだ。

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野村隆文 19年9月15日放送


Éole
未知なるメキシコ もっと自由な街へ

メキシコの首都、メキシコシティ。

自由を求め続け、
拡大しつづけてきたこの大都市は、
今なお自由に貪欲だ。

美術館が、パリと同じぐらいある。
街中に、電動キックボードやシェアサイクルが溢れている。
スケートとかファッションとか、若者のカルチャーが盛り上がっている。
世界の大都市から、アーティストやクリエーターが次々に移住してきている。

活気と喧騒は裏返し。
人が集まれば、もちろん衝突も起きる。
でも、そこからしか、多様で自由な新しい都市は生まれてこない。

メキシコシティは、今までで一番、
今この瞬間が自由な街。

明日9月16日は、メキシコの独立記念日。

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渋谷三紀 19年9月14日放送


nolabwork
銭湯のおはなし「富士山」

銭湯の壁の絵といえば富士山。
はじめて描かれたのは大正元年のことでした。
東京の猿楽町にあった銭湯「キカイ湯」が
子ども達によろこんでほしいと絵師に依頼。
その絵師が故郷の富士山を描いたのがはじまりだそう。
日本を象徴する山で、信仰の対象、
見た目も美しく、何より縁起がいい。
まわりの銭湯もマネをして
銭湯の富士山はいっきに広まりました。
体温とともに気分も上々!
といったところでしょうか。

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渋谷三紀 19年9月14日放送



銭湯のおはなし「タオル」

銭湯ではお湯に浸かるとき
頭にタオルをのせますが、
それは湯船にタオルを浸けない
マナーからだけではありません。
長くお湯に浸かると頭に血が上ります。
濡れたタオルを軽く絞って頭にのせると
タオルからの気化熱で頭が冷やされて
湯あたり防止になるのだそうです。
なるほど。
そうそう、天井から水滴が頭に落ちて
「冷てっ」なんてこともありませんしね。

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渋谷三紀 19年9月14日放送


peter-rabbit
銭湯のおはなし「男湯と女湯」

銭湯の入り口にかかるのれん。
向かって右は男湯ですか?それとも女湯?
実は関東と関西で逆なのだそうです。
ちなみ京都は右に女湯。
その理由をこんな風に話します。
「男女で行ったとしますわ。
人間の顔は右の方が表情豊か。
ですから女は湯あがりに
右の顔をみられるのがよろしいようで。」
銭湯にはドラマがあります。

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渋谷三紀 19年9月14日放送



銭湯のおはなし「映画」

昭和の映画には、よく銭湯が登場します。
映画「東京物語」の冒頭シーン。
長男長女を訪ねて田舎から上京したものの、
ほったらかしにされた老夫婦。
手持ち無沙汰な義父をもてなそうと、
長女の夫が声をかけます。
タオル片手に3人でぶらり銭湯に出かける姿は、
まさに古き良き昭和の風景です。
ちなみに入浴料は15円。髪を洗うとさらに10円。
タバコが30円の時代に安くはありません。
お風呂がある家庭がめずらしかった戦後。
銭湯は庶民の暮らしに欠かせないものであり、
ささやかな楽しみでもあったようです。

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渋谷三紀 19年9月14日放送


otarako☺︎
銭湯のおはなし「牛乳」

銭湯から上がり、
腰に手を当てぐいっと飲みほすものといえば、
そう、牛乳です。
フルーツ牛乳もいいですよね。
昭和30年代、テレビ、洗濯機とともに
冷蔵庫は三種の神器と呼ばれる庶民の憧れ。
当時繁盛していた銭湯には
最新式の冷蔵庫がありました。
そこに目をつけたのが牛乳屋さんでした。
湯上がりに飲む冷えた牛乳のおいしさ、
そこで交わすたわいもない会話。
減りつつける銭湯とともに、
そんな風景まで消えてしまうのはちょっと寂しい。

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蛭田瑞穂 19年9月8日放送


dalbera
ダンス エトワール

1661年にルイ14世が設立したロイヤルダンスアカデミーを起源に持つ、
パリ国立オペラ。通称「オペラ座」。

オペラ座に所属するダンサーはおよそ150人。
年に一度の試験によってダンサーたちは5つの階級に分けられる。
カドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスールと位が上がり、
最高位がエトワール。

現在のエトワールは男女合わせてわずか16人。

フランス語で「星」を意味するエトワールは
際立った個性や天性の才能を持つダンサーと認められた者だけが
手にできる称号である。

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