額縁の話 箱型額縁
16世紀になるとイタリアでは
「カセッタ」と呼ばれる額縁がポピュラーになる。
かセッタはイタリア語で「小箱」。
その名の通り箱型の額縁だ。
凹凸の少ない、幅の広い画枠が特徴で、
そこに装飾が施されている。
上塗りをかき削って、下地の金メッキを見せるように
模様を描いたスグラッフィートという技法がよく使われる。
箱型額縁は基本的にシンプルなデザイン。
けれども外縁の細工はとても細やかだ。
たとえばブリューゲルの「東方三博士の礼拝」が飾られていた
箱型額縁は、クルミ材で作られ、
外縁がカールするように立ち上がっている。
細部には金メッキで細かい模様が施されている。
ブリューゲルがそう望んだのか定かではないが、
控えめながら荘厳に絵を縁取っている。