恋文のいろいろ。 〜谷崎潤一郎〜
近代日本文学を語る上で、
欠かすことができない小説家・谷崎潤一郎。
彼が「創作の源泉・女神」とまで崇めた
妻・松子に
彼はこんな恋文を送っている。
「仏さまの足をかたどった墓石より、
あなたが履いた靴の下に埋められたい。」と。
彼の書く小説は、
変態的な性的嗜好を描いたものが多く、
共感することはあまりにも難しい。
それにも関わらず、彼の描く
「マゾヒズム」や「フェティシズム」に
惹かれてしまう人々が多かったことも確かだ。
恋文のいろいろ。 〜谷崎潤一郎〜
近代日本文学を語る上で、
欠かすことができない小説家・谷崎潤一郎。
彼が「創作の源泉・女神」とまで崇めた
妻・松子に
彼はこんな恋文を送っている。
「仏さまの足をかたどった墓石より、
あなたが履いた靴の下に埋められたい。」と。
彼の書く小説は、
変態的な性的嗜好を描いたものが多く、
共感することはあまりにも難しい。
それにも関わらず、彼の描く
「マゾヒズム」や「フェティシズム」に
惹かれてしまう人々が多かったことも確かだ。
肉 魯山人のすき焼き
芸術家であり、美食家としても有名な北大路魯山人。
彼はすき焼きに並々ならぬこだわりを持っていた。
鉄鍋に牛脂をひき、霜降りの牛肉を入れたら
酒と醤油、ごくごく少量のみりんで味をつける。
いただくときは大根おろしを乗せて。
肉を食べ終えたら鍋に出汁を足し、野菜をほどよく煮る。
その繰り返し。
ねぎは一皮剥く、ほうれん草を用意する、など細かい作法が続くので
彼がすき焼きを食べるときには極意を心得た人が必要だった。
肉 池波正太郎のすき焼き
美食家としても知られる小説家、池波正太郎。
彼は肉の質によってすき焼きの調理法を変えていた。
うんといい牛肉が手に入ったら、
かつおぶし・醤油・みりんで作った割下を鍋に少し入れ、その中で肉にさっと火を通す。
まずは肉を楽しみ、よきときにぶつ切りのねぎを並べる。
牛肉とねぎだけ。
いい肉を味わうときはシンプルに。
そうでないときは砂糖を入れて甘辛く煮る。
「これはこれでいいもんだ」と池波は言う。
Ben Chen Photography
肉 A5ランク
高級牛肉の代名詞ともいえるA5ランクの牛肉。
ところで、A5とは何を指すのだろうか。
最初のアルファベットは「歩留まり等級」のこと。
食べられる部分の多さを示し、AからCの3ランクに分けられる。
次の数字は「肉質等級」。
これは霜降りの度合いや肉の色艶などの牛肉の見た目の基準で、
1から5の5ランクに分けられる。
そもそもこの等級分けは牛肉を市場で取り引きするためのもの。
牛肉のおいしさについての絶対的な基準ではない。
霜降りを好む人もいれば、赤みを好む人もいる。
好みは人それぞれ、ということ。
肉 シャトーブリアン
牛肉のシャトーブリアン。
ヒレ中央の肉質のよい部分の肉で
牛一頭から500グラム程度しか取れない希少な肉。
ところで、なぜこのような名称なのだろうか。
話は18世紀にさかのぼる。
フランスにフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンという作家がいた。
初期ロマン主義を代表する作家で、政治家としても活躍した。
彼が考案したのがシャトーブリアンのみをつかったステーキ。
好んで食したことからその部位を
シャトーブリアンと呼ぶようになったという。
肉と文学の意外な関係がそこにある。
肉 串打ち三年焼き一生
やきとり職人は「串打ち三年焼き一生」と言われる。
ミシュラン一つ星獲得店「あやむ屋」の串打ちは、
細長い扇型が理想形。
串の一番下の肉は、上よりも小さい。
わずかに弱火になる焼き台手前に、火の通りの良いサイズを見極める。
焼きは炭火で素早く一気に。
肉表面の焼け具合と、
串のわずかな重さの変化を捉え、1、2回だけ裏返す。
こうして焼きあがったやきとりは、外はパリッと、中はジューシー。
まさに職人の「技あり一本」だ。
『肉食之説』(京都大学附属図書館所蔵)部分
肉 肉食のススメ
「肉食せざるべからず」
明治15年「肉を食べなさい」と説いた福沢諭吉。
日本で長くタブーとされてきた肉食を、
滋養のために取り入れるべき、と考えた。
諭吉の活動は、牛肉販売会社の宣伝本を書き、
慶應義塾の食堂に、肉食メニューを出すほど熱心だった。
その甲斐もあってか、
牛肉とネギを割り下で煮て食べる「牛鍋」が大流行。
わずか10年ほどで、数百件の店が誕生した。
私たちを楽しませている肉グルメの発祥は、
諭吉の「肉食のススメ」と言えるかもしれない。
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肉 生け捕りジビエ
鹿、兎、鴨、イノシシ…
これらの動物に共通点があるとすれば、
ジビエと呼ばれて美食家たちに愛されていることだろうか。
自然の命をいただくのだから、最もおいしい食材にしないと申し訳ない。
あるジビエハンターは、そういって、鉄砲ではなく手作りの罠にこだわる。
鉄砲で傷つけてしまうのではなく、素手で捕獲し、生け捕りにするのだ。
そうして捕獲から解体、調理までのすべてを行うのだという。
自分でやりきるから、余すことなくいただける。
「いただきます」の本来の姿を、突き付けられた気がした。
肉 ジビエと人びと
ジビエとは、狩猟によって捕獲された野生の鳥と獣の食肉のことだ。
実は、ジビエ流行の裏側には、
ジビエ、いや、野生の獣による農作物の被害という問題がある。
捕獲した獣たちを殺処分するのではなく、
ジビエとしてその命のありがたみをいただけないか―?
そう考えた自治体や地域団体が、
衛生的な処理とスピーディな流通を実現させようと挑戦を続けている。
美味しくて高級、貴重なジビエ。
ナイフを入れる時には、さまざまな人の熱意にも感謝しながらいただきたい。
針のお話 針供養
今日2月8日は針供養の日。
針供養が行われるようになったのは、
家庭で針仕事をする人がふえた江戸時代。
この日は針仕事を休み、
使えなくなった針を寺社へ収めたり、
豆腐などの柔らかいものに刺して供養した。
ひとが柔らかい布団を好むように、
柔らかい場所でゆっくり休んでください、
ということだろうか。
いちど針に、豆腐の刺し心地を聞いてみたい。
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