石橋涼子 20年3月29日放送
Haragayato
春野菜のはなし たけのこ前線
春が来て温かな日差しを感じると、
土の中からひょっこり顔を出す、たけのこ。
たけのこを漢字で書くと、竹冠に旬。
これは、一旬で竹になる、という意味で
たけのこの成長の早さを表している。
柔らかく甘みのある春のたけのこは、
収穫後もどんどん成長してえぐみが強くなるので
下処理は時間との戦いだ。
料理好きで知られる文豪の檀一雄は、
たけのこはとにかく掘った、食った、が良いと語る。
春になると、竹林の中に分け入って
掘り立てを焼いて食べるために東奔西走するという。
さすがに竹林で焼くのは難しいが、
とれたてのおいしさを求めて産地を訪れる人は多い。
日本の食卓で親しまれている孟宗竹は
2月下旬に九州で出回り始めて
3ヶ月ほどかけて東北に達する。
桜前線ならぬ、たけのこ前線だ。