小野麻利江 20年5月31日放送
音楽の力 歌う国・イタリア
歌う国、イタリア。
古くからイタリア人は
「歌うこと」や「旋律をつくること」が得意だとされ、
西洋音楽の歴史の中で、
数多くの声楽曲を生み出してきた。
「グレゴリオ聖歌」などの聖歌を皮切りに、
中世の典礼劇、ラウダと呼ばれる宗教歌、
マドリガーレやバッラータ、カッチャと呼ばれる多声音楽、
近世に入って生まれたオペラ、
そして、カンタータ・・・
時代を経て音楽の様式は変わっても、
伝わりやすい歌詞と、流麗で抒情的な旋律。
この2つを愛する心が、失われることはなかった。
そして、2020年3月。
新型コロナウイルスの感染拡大で
イタリア全土が封鎖状態にある中、
ナポリやシエナで、
自宅に閉じ込められた住民が
窓から一斉に合唱する姿が報道された。
トリノでは、オペラ歌手が
ベランダからアリアを歌い上げる様子も話題になった。
歌う国、イタリア。
どんな状況にあっても、彼らは彼らの人生の中に、
美しい旋律が流れていることを忘れない。
さあ、音楽の力を、日々の力に。