松岡康 20年6月21日放送
赤い浮世絵
人類は遥か昔から
疫病と向き合ってきた。
色鮮やかに刷られているものが多い浮世絵の世界。
その中に、赤一色で刷られた「「疱瘡(ほうそう)絵」というジャンルがある。
天然痘が何度も流行った江戸時代に
厄除けのまじないとして描かれた。
天然痘を持ってくる鬼は赤を嫌うため、
病気になった子供たちはこの疱瘡絵を枕元に置いて天然痘と戦っていたという。
赤の濃淡だけで構成されたその絵は、
激しく力強い不思議な魅力にあふれている。
疫病と戦うなかで人類が生み出したものは多い。
いま、コロナと戦う私たちは、
どんな新しいものを生み出すことができるだろう。