松岡康 20年6月21日放送
Gustavo Jeronimo
交通と疫病
人類は遥か昔から
疫病と向き合ってきた。
疫病と人類の歴史を語るうえで欠かせないのが、
『交通』の進歩だ。
本来疫病は単なる風土病であったが、
交通の開発によって人類の大きな脅威となった。
「シルクロード」では人、もの、文化を東西で交流させたが、
同時に多くの細菌やウイルスも一緒に移っていった。
交易で栄えたはずの漢と、古代ローマが衰退した一因は
疫病の交流でもあった。
コロンブスの新大陸発見でも、
ヨーロッパから持ち込まれた天然痘などで多くの先住民が亡くなり、
反対に新大陸からは梅毒が伝わり、
またたく間に欧州全土に広がった。
交通と交流の歴史は、同時に疫病の歴史でもあるのだ。
いま、私たちはオンラインで世界中と繋がり、
交流することができる。
人類と疫病の関係は今、大きく変わろうとしているのかもしれない。