川野康之 20年8月22日放送
チンチン電車の日
チンチン電車は世界中の街を走った。
レイ・ブラッドベリの小説『たんぽぽのお酒』の中には、
ある朝、銀色にカーブしたレールを、
クロムのベルをチンチンと鳴らしながら
やってくる電車の姿が描かれている。
「これが最後なんだ。市街電車はなくなるんだよ。
明日からはバスが走ります」
と告げる運転士に、少年は言い返す。
「そんなことできることじゃないよ!
どう見たってバスは市街電車じゃないもの。
火花だって散らさないじゃないか」
今日はチンチン電車の日です。