中村直史 11年7月17日放送
ヨーロッパの芸術家/カルロ・マリア・ジュリーニ
1984年、イタリア人指揮者
カルロ・マリア・ジュリーニは
ロサンゼルス交響楽団の音楽監督を辞任した。
理由は、妻の病気。
つねに近くにいてあげられるよう、
フリーの指揮者となり
引きうける演奏先をヨーロッパに限った。
そういう音楽家だった。
精神性や愛情が、音楽にとっていかに大切か。
日頃の態度からにじみでるような。
ていねいで、つつしみ深く、
オーケストラと指揮者の関係にも敏感だった。
オーケストラの「指揮」だなんて恐ろしい言葉です。
大切なのは、「いっしょに音楽をする」ということなのです。
メディア受けする華やかさやカリスマ性だけが
芸術をつくるわけではない。
ジュリーニの精神性に感銘を受けた多くの指揮者たちが
今日も世界中のホールで音楽を響かせている。