茂木彩海 12年5月20日放送


B.B
植物のはなし カレル・チャペック

4月に生まれた私の母は、50歳の誕生日を迎えたその日に、
突然ガーデニングに目覚めた。

真っ白な植木鉢に
真っ黒な腐葉土。
そこにお気に入りのピンクの花の苗を
大事そうに植えるその姿を見て、
ああ、そろそろ春だな、と娘は思う。

趣味が園芸だった劇作家、カレル・チャペックに言わせると、
4月はこれこそ本格的な、恵まれた園芸家の月」であり、
とにかく、自身でふかふかした土を指でほじくってみるといい」らしい。

母はきっと、その魅力を知ってしまったのだろう。


jiroh
植物のはなし 塚本こなみ

はじめて診察したのは、700歳の松の木だった。

日本ではじめて、木のお医者さんになった女性。塚本こなみ。

造園家の夫を支えるかたわらで、
男性が多い現場を不思議に思い、
女性の目で植物と向き合うべく15日間の長い試験の末に、
樹木医となった。

そんな塚本は、
人間が植物を守ろうとか、おこがましいことを言わないでほしい
と、語る。

自然を守ろう。その言葉が使われれば使われるほど、
私たちは木に守られている、という事実が薄れていく。

もの言わぬ樹木が相手だからこそ、その無言の声を受け止める。
その言葉のない会話こそが、樹木医の原点なのかもしれない。

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