熊埜御堂由香 12年9月2日放送
windyboy
果物のはなし 木村秋則のりんご
葉っぱが真っ白になるほどの農薬を散布してこそ、
真っ赤な美味しいりんごが収穫できる。
それがりんご農家の常識だった。
その常識を変えた男、木村秋則(きむらあきのり)。
青森のりんご農家の婿に入り、
農薬散布に疑問を抱いた。
そして試行錯誤をはじめる。
数年収穫はゼロ。
水道代も払えずメモを取るノートも買えない。
死のうと、ひとり入った山で、ふと気づいた。
一滴の農薬も使わない木々が、葉をつけ生きている。
畑の土を山の土と同じようにしよう。
それから木村は畑の雑草を刈ることをやめ
害虫をむやみに殺すことをやめた。
だんだんと畑は元気を取り戻し無農薬栽培を
はじめて9年後に畑いっぱいにりんごの花が咲いた。
畑には野山のような連鎖がおこっていた。
その実は奇跡のりんごとよばれ、評判になった。
木村は愉快そうに言う。
りんごの花は上を向いて咲くのな。
桜の花は下を向いて花見を
するひとのほうを見て咲くでしょ。
リンゴは人間を気にもしてないの。
ちょっと威張っているのな。