蛭田瑞穂 12年9月8日放送
作家が暮らした家⑤種村季弘
ヨーロッパの幻想文学や異端文化を日本に紹介し、
1960年代のアングラ文化の担い手となったドイツ文学者種村季弘。
種村が終の棲家としたのは神奈川県湯河原の高台に建つ家。
書斎の窓からはみかん畑が見下ろせ、遠くには箱根の十国峠も望めた。
その家に集まるのは個性の強い作家や芸術家たち。
毎年正月には「種村宴会」と呼ばれる新年会が開かれ、
ドンチャン騒ぎが繰り広げられた。
そんな中、誰よりも大声で笑っていたのは家の主。
そんな種村を客人たちは「笑うドイツ文学者」と呼んでいた。