大友美有紀 12年10月20日放送
小川三夫「不器用な言葉」3
1年ほど仏壇造りの修行をした小川三夫は、
ようやく法隆寺棟梁の西岡に弟子入りする。
ここでも言葉でストレートには教えない。
あるとき小川は西岡の息子に誘われて浄瑠璃寺を見に行く。
帰ってくると棟梁はそんな建物を見に行く必要はない、
という顔をしている。口には出さないけれど怒っている。
その時の俺は未熟だったから棟梁の真意がわからなかった。
今になってみると見る目がないのに
見に行ったってしょうがないという怒りだったとわかる。
見る目がない時にものを見に行くと、
人の言葉を借りて見るだけだな。
本やなんかに書いてあることを評論家みたいに言うだけだ。
思ってもないのにな。