藤本宗将 12年10月27日放送
起業家という生き方 田辺茂一(もいち)
田辺茂一は、備長炭を商う「紀伊國屋」の跡取りとして生まれた。
家業を継ぐのが当たり前の時代だったが、
本に魅せられた田辺は
炭を売る傍らで「紀伊國屋書店」を創業する。
長い戦争の時代に大きな被害を受けたが、
田辺は事業を諦めなかった。
戦後豊かな時代がやってくると、
劇場をつくり文化を発信した。
こうして日本一の書店をつくりあげた彼に、
あるインタビュアーが言った。
「炭屋の片隅で始めた本屋が日本一の本屋になるなんて、
そんな時代というのはもう来ないんでしょうねえ」
田辺はこう応えた。
「何でも時代のせいにしてりゃあ、そりゃあ楽だわな」