佐藤延夫 12年11月03日放送
ムーミン谷の住人たち7
ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンは、
生涯独身だった。
しかし、ひとりぼっちではなく、
親友のグラフィックアーティスト、
トゥーリッキ・ピエティラと一緒に過ごした。
人里離れた、小さな島のアトリエで。
ふたりが暮らした小屋には、
トーベたちがいない間も、鍵がかけられていなかったそうだ。
船乗りが嵐から身を守れるように、
通りすがりの人がコーヒーを飲めるように、
その扉はいつも開けられていた。
まるで、ムーミン谷でいつもたくさんの人を迎え入れる
ムーミン屋敷のように。
秋になると、旅に出るものと、
のこるものとにわかれます。
いつだって、そうでした。
めいめいの、すきずきでいいんです。
ムーミンのお話の中に、こんなセリフがあった。
この物語は、誰かを静かに、あたたかく見守るトーベの優しさで溢れている。