茂木彩海 13年1月20日放送
夢のはなし 黒澤明の理想
こんな夢を見た。
“私”は、美術館に飾られたゴッホの絵に魅せられている。
ふと気付くとそこは絵の中。
歩いていくうち、やがてゴッホと出会う。
「鴉のいる麦畑」の中を歩く彼の前を沢山の鴉が飛び立つ、その瞬間。
“私”はまた、何事も無かったかのように
展示会場のゴッホの絵の前に立っているのだった。
黒澤明が自分の見た夢をモチーフにつくった映画、『夢』。
第五話の「鴉(からす)」では、黒澤が尊敬するゴッホが現れる
幻想的な夢が描かれている。
現実には出会えない、誰かと出会う。
それも夢の醍醐味。
もし大好きな人と夢の中で出会えたら、あなたならどんな言葉を交わすだろう。
ちなみに黒澤は、夢の中のゴッホにこんな台詞を言わせている。
「絵になる風景を探すな
よく見るとどんな自然でも美しい
僕はその中で自分を意識しなくなる
すると自然は夢のように絵になっていく」