佐藤理人 13年3月9日放送
アーリーロケットメン④「キバルチッチ」
ロケットエンジンの理論を発見したのは、
皇帝の暗殺者だった。
ロマノフ王朝の皇帝アレクサンドル二世を
三度も付け狙って暗殺した過激派グループ
「人民の意志」の一員、ニコライ・キバルチッチ。
彼は処刑を待つ牢獄の中で、
火薬を段階的に爆発させれば、
ロケットを加速できるとひらめいた。
これこそ現代のジェットエンジンに使われている、
徐燃式爆発
と呼ばれる技術。
アレクサンドル二世は、
ロシアの自然資源を開発するために
優秀な科学者の育成に尽力した皇帝だった。
皮肉にもキバルチッチは、
その政策によって育てられた
爆破のスペシャリストだったのである。
彼の才能と執念深さを研究に生かしていれば、
と思わずにはいられない。