佐藤理人 13年3月9日放送
アーリーロケットメン⑤「ツィオルコフスキー(前編)」
幼い頃に聴力を失ったことが、
ロケットの父
コンスタンチン・ツィオルコフスキーを本の虫にした。
孤独を癒すために読んでいた物理や天文学の本は、
やがて彼の生きる原動力になった。
着るものも食べるものも構わず、
頭の中は常に大空と宇宙のことでいっぱい。
独学で研究を続けた彼は、ライト兄弟が空を飛ぶ20年も前に、
宇宙を飛ぶロケットの理論を発見していた。
当時の飛行研究家は皆飛ぶことだけを考えていたため、
機体を軽い木や布で作るのが常識だった。
しかし既に宇宙を見据えていた彼は、
エンジンを乗せるには頑丈な金属の機体が必要と考え、
飛行船の模型を作って政府に助成金を申請した。
しかし役人たちはその模型を、
風のオモチャ
と言って相手にもしなかった。
世界初の飛行船「ツェッペリン号」が誕生したのは、
それから10年も後のこと。
健康な目や耳を持っていても、
何も見えず、聞こえない人のなんと多いことか。